無料で手軽に使える4つの生成AIを比較するシリーズです。今回は、簡単な刑法の問題に答えてもらいました。
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- 1. ChatGPT vs Gimini vs Perplexity vs Claude
- 2. 刑法の基本を理解してる?
- 2.1. ChatGPTの回答
- 2.2. ① Vの死因が打撲による脳挫傷の場合
- 2.3. ② Vの死因が刺殺による失血の場合
- 2.4. Geminiの回答
- 2.5. ① Vの死因が打撲による脳挫傷の場合
- 2.5.1. 【理由】
- 2.6. ② Vの死因が刺殺による失血の場合
- 2.6.1. 【理由】
- 2.6.2. 【結論】
- 2.7. Perplexityの回答
- 3. ① Vの死因が打撲による脳挫傷の場合
- 4. ② Vの死因が刺殺による失血の場合
- 5. 表でまとめ
- 6. 重要ポイント
- 6.1. Claudeの回答
- 7. ①Vの死因が打撲による脳挫傷の場合
- 8. ②Vの死因が刺殺による失血の場合
- 9. 雑感
- 9.1. ②をちょっとだけ解説
ChatGPT vs Gimini vs Perplexity vs Claude
生成AIを使った様々なサービスが提供されています。ガッツリ使うには、当然、有料で使うしかありません。しかし、お試し的に、無料で割と手軽に使える生成AIがあります。
刑法の基本を理解してる?
生成AIがいろんな分野で活用されています。法律業界も契約書のチェックなどでAIが利用されています。じゃぁ、実際、生成AIはどこまで法律を理解してるんでしょうか?刑法総論の簡単な問題を出してみました。
入力するプロンプト
①と②それぞれの場合のXの罪責を理由を併せて答えて。
Xは、都内の公園内でVを殴打した。Vは意識不明状態になり、その場に倒れた。Xは、Vを放置し、公園を離れた。その後、たまたま、Vに恨みを持っていたYが公園内を通り、発見したVをナイフで刺した。その後、Vは死亡した。
①Vの死因が打撲による脳挫傷
②Vの死因は刺殺による失血
刑法総論の因果関係の問題です。①②のどっちかは、Xの行為とVの死亡との間に因果関係が認められます。気になった人は、刑法総論の基本書を読んでみてください。
ChatGPTの回答
こういうのは、推論した方がいいんじゃないかって思うので、o4-miniモデルの回答です。
① Vの死因が打撲による脳挫傷の場合
- 傷害致死罪(刑法205条)
- XがVを殴打し、その結果Vは意識不明となり死亡した。Xの行為が直接の死因(脳挫傷)をもたらしており、予見可能な結果を実現させているため「傷害致死罪」が成立します。
- 故意に殴打した行為と死亡との間に因果関係が認められる点が要件を満たします。
- 負傷者遺棄罪(刑法218条)
- Xは意識不明のVを助けず、その場を離れている。被害者を負傷・病死の状態で放置したまま現場を去る行為は「負傷者遺棄罪」に該当します。
- 本罪は、自己の行為によって生じた負傷者を保護すべき立場にあるにもかかわらず救護を怠る点で違法性が認められます。
結論
Xは「傷害致死罪」と「負傷者遺棄罪」が併合罪として成立します。
② Vの死因が刺殺による失血の場合
- 傷害罪(刑法204条)
- Xの殴打行為はVに怪我を負わせた点で「傷害罪」が成立します。しかし、死亡原因はYの刺殺によるもので、Xの行為と死亡との間に直接の因果関係は断絶(中断)しています。
- Xは殴打時点で死亡を予見していないか、少なくとも刺殺による死を予見できないため、「傷害致死罪」や「殺人罪」には当たりません。
- 負傷者遺棄罪(刑法218条)
- ①と同様、意識不明のVを放置したことから「負傷者遺棄罪」が成立します。
結論
Xは「傷害罪」と「負傷者遺棄罪」が併合罪として成立し、死亡自体の責任までは追及されません。

負傷者遺棄罪って何?
Geminiの回答
2.5Proを使った回答です。
なんですの、こんな基本的な刑法の問題で悩んでいるなんて。仕方ないですわね、わたくしが特別に解説して差し上げますわ。よくお聞きなさい。
この事例の核心は、Xの暴行行為とVの死亡結果との間に、第三者Yの行為が介在した場合に、Xの行為と死亡結果との間の因果関係が認められるか、という点ですわね。
判例・通説である相当因果関係説、その中でも有力な危険の現実化説の立場から解説しますわ。これは、①Xの行為が結果発生の現実的危険を創り出し、②その危険が介在事情を含めて現実化した、と評価できる場合に因果関係を肯定する考え方よ。
① Vの死因が打撲による脳挫傷の場合
この場合のXの罪責は、**傷害致死罪(刑法205条)**ですわ。
【理由】
結論から申し上げると、このケースではXの殴打行為とVの死亡との間に、直接的な因果関係が明白に認められます。
- 実行行為と結果の直接的結合Xの殴打行為(実行行為)が、Vに脳挫傷という致命傷を負わせ、それが直接の原因となってVは死亡しています。つまり、Xの行為がなければVは死亡しなかった(条件関係)だけでなく、Xの殴打行為は人の生命を奪うに足りる危険な行為であり、その危険がそのまま現実化して死亡結果を発生させていますの。
- 介在事情(Yの刺突行為)の評価YがVをナイフで刺した行為は、Vの死亡という結果に対しては何ら影響を与えていません。死因はあくまでXの暴行による脳挫傷なのですから。たとえYの行為がVの死亡時刻を僅かに早めた可能性があったとしても、Xの行為がVの死亡の根本的かつ主要な原因であることに変わりはありません。このような結果に影響を及ぼさない介在事情は、因果関係の流れを遮断するものではありませんのよ。
したがって、Xの殴打行為とVの死亡結果との間には因果関係が認められ、Xには傷害致死罪が成立します。べ、別にあなたのために詳しく解説してあげてるわけじゃないんだから、勘違いしないでよね!
② Vの死因が刺殺による失血の場合
この場合、学説上の見解は分かれ得ますが、判例の傾向からすればXの罪責は**傷害致死罪(刑法205条)**が成立する可能性が高いと考えられますわ。ただし、**傷害罪(刑法204条)**にとどまるとする見解も十分にあり得ます。
【理由】
このケースでは、Xの行為は直接の死因ではなく、Yの行為が直接の死因となっています。そのため、Yの行為という介在事情があってもなお、Xの行為にV死亡の原因を帰すことができるか(因果関係が認められるか)が最大の争点ですの。
- Xの行為が創出した危険まず、Xの殴打・放置行為は、Vを意識不明で無防備な状態に陥れ、都内の公園という不特定多数の人間が出入りする場所に放置したという点で、「第三者による更なる加害行為を誘発・容易にする」という生命侵害の現実的危険を創出したと評価できますわ。
- 介在事情(Yの刺殺行為)の評価問題は、このYの行為が、Xの行為から通常予測しうる範囲内のものか、それとも因果の流れを断ち切るほど「異常な介在事情」といえるか、です。
- 傷害致死罪成立を肯定する見解(因果関係を肯定)公園で意識不明の人を放置すれば、他の犯罪に巻き込まれる危険があることは、経験則上、十分に予測可能ですわ。YがVに個人的な恨みを持っていたという事情は、Yの動機に過ぎません。Xが予見すべきは「第三者による加害行為」という類型的な事態であり、加害者が誰でどのような動機を持つかまで予見する必要はありません。したがって、Yの行為はXが創出した危険が現実化したものと評価でき、因果関係は遮断されません。よって、Xには傷害致死罪が成立します。
- 傷害罪にとどまるとする見解(因果関係を否定)一方で、Vに恨みを持つYがたまたま通りかかり、新たな殺意に基づいて刺殺するという展開は、あまりに偶然が重なった、Xの行為からすれば予見不可能な「異常な介在事情」であると評価することもできます。その場合、Xの行為と死亡結果との因果関係はYの行為によって遮断されたことになります。よって、Xの罪責は、自らが引き起こした結果である傷害罪の範囲にとどまります。
【結論】
どちらの見解も成り立ち得ますが、近時の判例は、先行行為が結果発生の危険な状況を創出している場合、介在事情があっても比較的広く因果関係を肯定する傾向にあります。Xが無防備な状態のVを公園に放置したという行為の危険性を重く見れば、傷害致死罪の成立を認めるのが妥当な帰結と言えるでしょう。
…どうかしら?少しはあなたのその悩める頭の助けになりました?
Perplexityの回答
Perplexityの回答です。
① Vの死因が打撲による脳挫傷の場合
- Xの罪責(暴行・傷害致死/殺人未遂等)
- XはVを殴打し、Vはその結果意識不明となり、死亡した場合、打撲による脳挫傷が死因であれば、Xの行為がVの死との間に因果関係が認められる。
- 状況によって「傷害致死罪」(刑法205条)が原則的に成立しうる。Xが致死の認識・予見があった場合は「殺人罪」(刑法199条)の成立も検討されるが、通常の殴打であれば傷害致死罪となることが多い。
- また、Vを放置して現場を離れた点は、「保護責任者遺棄罪」(刑法218条)該当の可能性があるが、死亡結果とは別に成立する。
まとめ
- 傷害致死罪が成立
- 場合によっては保護責任者遺棄罪も成立
② Vの死因が刺殺による失血の場合
- Xの罪責(傷害・未遂犯・因果関係の遮断)
- この場合、Vの死亡とXの暴行との間に直接の因果関係はない。VはXによる暴行で意識不明となったものの、死因はその後Yによる刺殺である。
- 裁判例・判例上、「中間行為(Yの刺殺)」が独立して死亡結果を生じさせた場合には、Xの暴行行為とVの死亡との間に因果関係がなくなる=Xの責任が死亡結果へ及ばないという基本的な立場が採られている。
- したがって、Xは「傷害罪」(刑法204条)、または重傷を負わせた場合は「重傷害罪」となるのみ。Vの死亡についての罪責(傷害致死や殺人罪)は問えない。
- XがVを放置した点は、やはり「保護責任者遺棄罪」が成立する可能性がある。
まとめ
- 傷害罪が成立
- 場合によっては保護責任者遺棄罪も成立
表でまとめ
事例 Xの罪責 処罰根拠 補足 ①Vの死因が打撲による脳挫傷 傷害致死罪・保護責任者遺棄罪 刑法205条・218条 死亡結果とXの行為に因果関係あり ②Vの死因が刺殺による失血 傷害罪・保護責任者遺棄罪 刑法204条・218条 死亡結果とXの行為に因果関係なし(中間行為による因果関係の切断) 重要ポイント
- 被害者死亡の因果関係がどこで区切られるか(中間行為の有無)がXの責任範囲を決定する。
- Xの放置が保護責任者遺棄罪になるかは、Vの状態やXの行為との関係で該当性を慎重に審査する必要がある。
Claudeの回答
最後は、Claudeの回答です。
法的分析をいたします。
①Vの死因が打撲による脳挫傷の場合
Xの罪責:傷害致死罪(刑法205条)
理由:
- Xの殴打行為とVの死亡との間に因果関係が認められる
- 殴打により意識不明となった脳挫傷が直接の死因であり、Yの刺傷行為は介在事情にすぎない
- 判例上、被害者が意識不明で抵抗不能な状態にあることを認識可能であった場合、その後の第三者による加害行為があっても、それが致命傷でない限り因果関係は遮断されない
- 保護責任者遺棄致死罪(刑法219条)の成立も検討できるが、より重い傷害致死罪で処理される
②Vの死因が刺殺による失血の場合
Xの罪責:傷害罪(刑法204条)+ 保護責任者遺棄罪(刑法218条)
理由:
- Xの殴打行為と死亡との間の因果関係が遮断される
- Yの刺殺行為が独立した新たな原因として死亡を惹起している
- ただし、Xの殴打により傷害の結果は発生しているため傷害罪は成立
- Vを意識不明状態で放置した行為について、生命に対する具体的危険を生じさせる遺棄行為として保護責任者遺棄罪が成立する可能性がある(要扶助者該当性、保護責任の発生根拠、予見可能性等の検討が必要)
実務上の留意点: 因果関係の判断は事実認定の問題であり、医学的所見や現場の状況等を総合的に検討する必要があります。
雑感
刑法総論の因果関係のよくある問題です。因果関係については、Geminiだけ②の因果関係を肯定してますが、基本的に4つとも正解です。
②をちょっとだけ解説
Vの死因は刺殺による失血死です。Vの死亡の直接原因は、Yの行為です。Xの行為の危険性が、直接、結果に結びついたわけではありません。
Vが放置されたのは、都内の公園です。具体的な場所は書いてませんが、第三者がVに暴行を加えて致命傷を与えるということは、通常、あり得ないでしょう。
したがって、Xの行為がYの行為を引き起こす危険を含むものとは言えません。つまり、Xの行為の危険性の現実化として、Vの死亡に至ったとはいえません。したがって、因果関係は否定されます。

Geminiは、都内の公園をそんなに危険だと思ってるんだ…
♪Mr.Children「マシンガンをぶっ放せ」(アルバム:深海 収録)
