自民党と日本維新の会の連立政権が誕生しました。今後、副首都構想が現実化すると、いわゆる大阪都構想の3度目の住民投票の可能性が出てきました。
- 1. 大阪都構想
- 2. 副首都構想
- 3. 大都市地域における特別区の設置に関する法律
- 3.1. 特別区を設置できる政令指定都市
- 3.1.1. 人口200万人以上の政令指定都市
- 3.1.2. 隣接する市町村と合わせれば人口200万人以上となる政令指定都市
- 3.2. 特別区設定の手続
- 3.2.1. 道府県議会、関係市町村議会の議決
- 3.2.2. 特別区設置協議会の設置
- 3.2.3. 特別区設置協定書の作成
- 3.2.4. 道府県議会、関係市町村議会での協定書の承認
- 3.2.5. 関係市町村の住民投票
- 4. 住民投票で何を聞かれてる?
- 4.1. 大阪市民以外の大阪府民の住民投票は?
- 4.2. 大阪市民は何を聞かれてる?
- 4.3. 特別区に隣接する市町村も特別区を設置できる
- 5. 政令指定都市が特別区になるのはデメリット?
大阪都構想
大阪都構想は、地域政党の大阪維新の会が掲げる政策です。政令指定都市である大阪市を廃止して特別区を設置しようという構想です。
大阪市を廃止して特別区を設置することで、大阪府と大阪市の二重行政を排し大阪の成長につながるそうです。
大阪都構想ですが、過去2回、大阪市民による住民投票が実施されました。結果は、いずれも僅差でしたが、反対多数となり、大阪都構想は実現しませんでした。
副首都構想
日本維新の会が掲げる副首都構想は、東京一極集中の是正と地方分権を進めるための国家構造改革構想です。
自民と維新の連立で副首都構想が実現!?副首都を関西にするなら学研都市が良くない?
自民党と日本維新の会の連立が合意に達しました。自民党と維新の連立により副首都構想が現実化するかもしれません。関西に副首都をおくなら大阪より学研都市がいいんじゃない?という妄想です。 副首都構想とは? 日本維新の会が掲げ […]
副首都の条件として、突如、特別区が設置されていることが付け加えられました。自民党と日本維新の会の連立により、副首都構想が現実化すれば、副首都を目指すために、大阪都構想が三度、動き出すのは間違いありません。
大都市地域における特別区の設置に関する法律
大阪都構想を実現するするための法律が、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」です。この法律が特別区を設置するための手続等を規定しています。
特別区を設置できる政令指定都市
特別区を設置できるのは、①人口200万人以上の政令指定都市と②隣接する市町村と合わせて人口が200万人以上の政令指定都市です。要は、単独で特別区を設置するか、周りと一緒に特別区を設置するかです。
人口200万人以上の政令指定都市
①横浜市
②名古屋市
③大阪市
隣接する市町村と合わせれば人口200万人以上となる政令指定都市
①札幌市
②さいたま市
③千葉市
④川崎市
⑤京都市
⑥堺市
⑦神戸市
法律上は、必ずしも大阪だけが対象となるわけではありません。ただ、大阪以外で特別区を設置しようという動きはないですよね。
特別区設定の手続
特別区を設置する場合の手続は、以下のような感じです。
道府県議会、関係市町村議会の議決
道府県議会と政令指定都市の議会での決議が必要です。隣接する市町村と一緒に特別区を設置する場合は、隣接する市町村の議会での決議も必要です。
特別区設置協議会の設置
特別区設置協議会で事務分担、財源配分、財政調整などを協議します。
協議の内容を総務大臣に報告し、意見をもらいます。
特別区設置協定書の作成
特別区の設置日、特別区の名称、特別区の財産処分、特別区の議会の定数、特別区と道府県との事務分担・財源配分・財政調整、職員の移管などの協定書を作成します。
道府県議会、関係市町村議会での協定書の承認
道府県議会と政令指定都市・隣接する市町村の議会で協定書の承認が必要です。
関係市町村の住民投票
政令指定都市・隣接する市町村の住民投票を行います。
賛成多数の場合は、道府県と一緒に、総務大臣に申請をします。
住民投票で何を聞かれてる?
特別区を設置するかどうかは、政令指定都市・隣接する市町村の住民投票によって決まります。大阪以外で特別区を設置しようという動きははないので、以下、大阪で話を進めます。
大阪市民以外の大阪府民の住民投票は?
ここで、ふと疑問に思った人はいないでしょうか?大阪市民以外の大阪府民の意見は聞かないの?と。
市町村合併に際して、住民投票は必要ありません。自治体が住民投票を実施することはありますが、法律上要求されているわけではありません。
おそらく、自治体の規模が大きくなる分には、住民にデメリットはないだろうということで、住民投票を必要としていないんだと思います。
大阪市が廃止されて特別区が設置されると、大阪市の権限の大部分が大阪府に移譲します。それとともに、大阪市の予算も大阪府に移譲されます。つまり、大阪府の面積は変わりませんが、実質、自治体の規模が大きくなるわけです。なので、住民にデメリットはないだろうということで、大阪市民以外の大阪府民の住民投票は不要とされているんだと思います。
大阪市民は何を聞かれてる?
大阪市民は、住民投票で何を聞かれているんでしょうか?都構想に賛成?反対?、特別区の設置に賛成?反対?そうではなく、もっと根本的なことが問われてるんだと思います。そのヒントが、特別区を設置した後の手続にありました。
特別区に隣接する市町村も特別区を設置できる
特別区を設置できるのは、前述のとおり、①人口200万人以上の政令指定都市と②隣接する市町村と合わせて人口200万人以上となる政令指定都市です。
ただ、特別区が設置された後で、特別区に隣接する市町村は特別区を設置できます。要は、やっぱり特別区を設置したいっていうのを法律は認めています。
その場合の手続きは、上記のとおりです。実は、住民投票が必要ない場合があります。それは、隣接する市町村を分けずに1つの特別区を設置する場合です。
たとえば、大阪市が廃止されて特別区が設置されたとします。その後、東大阪市が複数の特別区を設置する場合は、東大阪市民の住民投票が必要です。摂津市が1つの特別区を設置する場合は、摂津市民の住民投票はいりません。
なぜ、住民投票の要否に違いがあるのかというと、自治体の規模が小さくなるかどうかだと思います。東大阪市の場合は、東大阪市を分割するので自治体の規模が小さくなります。摂津市は分割しないので、自治体の規模は変わりません。ということは、自治体の規模が小さくなるのは、住民にとってデメリットだと法律は考えているのでしょう。
政令指定都市が特別区になるのはデメリット?
以上のことから、法律は、政令指定都市を廃止して特別区を設置するのは、自治体の規模が小さくなるので、デメリットだと考えているのでしょう。
つまり、大阪市民は、住民投票で自治体の規模が小さくなるのはデメリットだと思うんだけど、本当にいいの?と聞かれてるわけです。
♪Mr.Children「東京」(アルバム:SUPERMARKET FANTASY収録)
