公用文作成の考え方④

「公用文作成の考え方」の内容が、文章作成全般に妥当する内容を含むので、紹介しようというシリーズです。

公用文作成の考え方

 「公用文作成の要領」が建議されたのが昭和26年のことです。その後、ようやく、時代の変化に併せて改訂すべく、令和3年に「新しい「公用文の作成の要領」に向けて」が報告されました。「公用文の作成の考え方」は、「新しい「公用文の作成の要領」に向けて」の内容を踏まえ、政府内で活用されることを目指し、取りまとめられたものです。

 このように、「公用文の作成の考え方」は、政府内で活用されることを目的としていますが、文章の作成全般に活用できるんじゃないか?と思われる内容を含んでいます。そこで、何回かに分けて、気が向いた時に、内容を紹介していきます。

伝わる公用文のために

 このパートが最後の項目です。ということは、まとめです。

文体の選択

 文書の目的や相手に合わせ、常体と敬体を適切に選択しましょう。一つの文・文書内では、常体と敬体のどちらかに統一しましょう。

 常体は、「~である」という文章です。「である・であろう・であった」を用います。

 一方、敬体は、ですます調の文章です。

文語の名残の言い換え

 文語の名残に当たる言い方は、分かりやすい口語体に言い換えましょう。たとえば、以下のような感じです。

言い換えの例

①~のごとく→ ~のように

②進まんとする→ 進もうとする

 ③大いなる進歩→ 大きな進歩

「べき」の使い方

 「べき」は、「用いるべき手段」「考えるべき問題」のような場合に使います。「べく」「べし」の形は使いません。

 「べき」がサ行変格活用の動詞(「する」「~する」)に続くときは、「~するべき…」とせず「~すべき…」とします。

 「~すべき」で文末を終えずに「~すべきである」「~すべきもの」とします。

標題・見出しの付け方

 標題(タイトル)では、主題と文書の性格を示します。

 分量の多い文書では、見出しを活用し、論点を端的に示しましょう。その際、中見出しや小見出しを適切に活用しましょう。見出しを追えば、全体の内容がつかめるようにするのが重要です。

 標題と見出しを呼応させましょう。そして、見出しを目立たせるよう、工夫しましょう。

文の書き方

 一文を短く、論点を一つにしましょう。

マドカ

言ってる(書いてる?)そばから、論点2つになってるし…

 三つ以上の情報を並べるときは、箇条書きにしましょう。

 基本的な語順(「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」)を踏まえて書きましょう。主語と述語の関係が分かるように書きましょう。

 接続助詞や中止法を多用するのは止めましょう。中止法というのは、述語の用言を連用形にして、文を切らずに続ける方法です。たとえば、「ふたを開け、お湯を入れ、3分待てばカップラーメンが出来上がる」みたいな文章です。

 同じ助詞は、連続して使うのは止めましょう。「今年の当社の取組みは」じゃなくて、「今年、当社が取り組むのは」にしましょうってことですね。

sir.child

よくWordに指摘されるやつだ。

 複数の修飾節が述部に掛かるときには、長いものから示すか、できれば文を分けましょう。

 受身形は、あんまり使わないようにしましょう。

 「~しないわけではない」みたいな二重否定は、どうしてもというとき以外は、使うのを止めましょう。

 係る語とそれを受ける語、指示語と指示される語は近くに置きましょう。言葉の係り方によって複数の意味に取れることがないように注意しましょう。また、読点の付け方によって意味が変わる場合があるので注意が必要です。

文章の構成

 文書の性格に応じて構成を工夫しましょう。結論は早めに示し、続けて理由や詳細を説明しましょう。分量の限度を決めておくといいです。「下記」「別記」等を適切に活用しましょう。

♪Mr.Children「Everything is made from a dream」(アルバム:Q収録)

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