地震や豪雨など自然災害による被害が多い日本。自然災害によって住宅が損壊した場合、残っている住宅ローンをどうすればいいのでしょうか?
- 1. 自然災害後の住宅の再建
- 2. 残っている住宅ローンをどうする?
- 3. 被災ローン減免制度
- 3.1. 被災ローン減免制度のメリット
- 4. 対象となる債務者
- 4.1. ①自然災害起因性
- 4.2. ②支払不能
- 4.3. 災害後に新たに住宅ローン等を組んだ場合
- 5. 対象となる債権者
- 6. 被災ローン減免制度の手続き
- 6.1. 手続着手の申出
- 6.2. 手続着手の同意
- 6.3. 登録支援専門家への委嘱の依頼
- 6.4. 登録支援専門家との打合せ
- 6.5. 債務整理の申出・一時停止
- 6.6. 調停条項案提出前の事前協議
- 6.7. 特定調停の申立て
- 6.8. 特定調停の成立
- 7. 一時停止
- 7.1. 債務者に対する効果
- 7.2. 債権者に対する効果
- 8. 調停条項案
- 8.1. ①収入弁済型
- 8.2. ②清算型
- 8.3. ③事業継続型
自然災害後の住宅の再建
地震や豪雨などの大規模な自然災害が発生した場合、甚大な被害が生じます。災害後に考えなければいけないのが、住宅の再建です。大規模な自然災害が発生した場合、様々な公的支援等があります。

残っている住宅ローンをどうする?
自然災害により自宅が損壊した場合、残っている住宅ローンは、今まで通り支払う必要があります。しかし、自然災害が原因で、住宅ローンの支払いができなくなることがあります。そこで、残っている住宅ローンを減免する手続きが用意されています。
被災ローン減免制度
自然災害により、住宅ローンなどの支払いが困難となった債務者のローンを減免する手続きが、「被災ローン減免制度」です。正式には、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」といいます。
被災ローン減免制度は、正式名称に「ガイドライン」と入っているように、法律ではありません。しかし、金融機関は、ガイドラインを尊重し遵守することが期待されています。
被災ローン減免制度のメリット
被災ローン減免制度を利用することのメリットは、以下のとおりです。
対象となる債務者
被災ローン減免制度の対象となるのは、自然災害の影響により、住宅ローンや事業性ローンなどの債務の返済ができなくなった個人の債務者です。

個人事業主も対象ですが、法人は対象外です。
①自然災害起因性
自然災害によって、自宅、勤務先等の生活基盤、事業所、事業設備、取引先等の事業基盤などが影響を受けてたことが要件です。

自然災害は、災害救助法の適用があるものに限ります。
②支払不能
自然災害の影響により、住宅ローン、住宅のリフォームローンや事業性ローンその他の借金の返済ができなくなったことが要件です。
つまり、平常時であれば、破産や個人再生の申立てを行うところ、自然災害が原因の場合には、被災ローン減免制度を利用するという選択肢が増えます。

自然災害の発生前から支払いができなくなっていた人は、対象外です。
災害後に新たに住宅ローン等を組んだ場合
すでに、債務者に住宅ローンがあることを金融機関が認識しているにもかかわらず、自然災害後に新たに、住宅ローンを融資した場合、金融機関は、債務者が返済可能であると判断しているわけです。債務者も返済できると判断しているわけです。したがって、原則として、被災ローン減免制度を利用できません。

自宅の修理・改築のためのローンも同様です。
対象となる債権者
被災ローン減免制度の対象となる債権者は、銀行、貸金業者、リース会社、クレジットカード会社などの金融機関です。
被災ローン減免制度によって、債務整理を行う必要性がある場合には、金融機関以外の債権者を対象にする場合もあります。
被災ローン減免制度の手続き
被災ローン減免制度の手続きの概略は、以下のとおりです。
手続着手の申出
債務者から主たる債権者に対して、被災ローン減免制度の手続に着手したいと申出を行います。

主たる債権者は、対象債権者の中で、最も元本の金額が多い債権者です。
手続着手の同意
主たる債権者から債務者に対して、手続着手に同意する書面を交付します。
登録支援専門家への委嘱の依頼
被災ローン減免制度の利用に当たって、債務者は弁護士、税理士、公認会計士といった登録支援専門家の支援を受けることができます。
弁護士の場合は、弁護士会を通じて、登録支援専門家への委嘱が行われます。
登録支援専門家との打合せ
登録支援専門家が決まったら、債務者との間で打合せを行います。
打合せで、被災ローン減免制度の要件を満たしているか?などを確認します。
債務整理の申出・一時停止
債務者から全債権者に対して、債務整理の申出を行います。
債務整理の申出により、一時停止の効力が生じます。
調停条項案提出前の事前協議
登録支援専門家は、調停条項案を提出する前に、全債権者と事前協議を行います。
調停条項案の説明を行い、債権者の同意見込みを確認します。
特定調停の申立て
債務者が裁判所に特定調停の申立てを行います。
特定調停の成立
特定調停が成立すれば、被災ローン減免制度の手続きは終了です。
債務を返済する内容の調停が成立した場合は、調停条項に従って、債務を返済していきます。
一時停止
被災ローン減免制度の手続が開始されたにもかかわらず、債権者が返済を受けたり、債務者の財産を差押えることができるとすると、被災ローン減免制度による債務整理を公平かつ円滑に行うことは、不可能です。そこで、債務者から債務整理の申出があった場合、一時停止の効力が生じます。
債務者に対する効果
一時停止の期間中、債務者は、一部の対象債権者に対して、返済など債務を消滅させる行為を行うことができません。さらに、原則、資産を処分できません。
債権者に対する効果
対象債権者は、一時停止の効力が発生した時点の与信残高を維持する必要があります。債務の返済を受けるなど債務を消滅させる行為は禁止されます。債務者から追加の担保をとることも禁止されます。

対象債権者が保証会社から保証債務の弁済を受けることは禁止されていません。
調停条項案
対象債権者に提示することになる調停条項案は、以下の3パターンがあります。
①収入弁済型
対象債権者に対して、債務者の減免と分割返済による期限の猶予を求める内容の調停条項案です。当然、将来、継続して収入を得られる見込みがある債務者が対象です。

個人再生のイメージです。
②清算型
債務整理の申出時点の債務者の財産を換価して、対象債権者に返済した上で、残った債務について免除を求める調停条項案です。
なお、自由財産など一定の財産は、債務者の手元に残すことが認められています。

破産のイメージです。
③事業継続型
将来の事業の収益から債務を返済することで、事業の再建・継続を図ることができる個人事業者が選択する調停条項案です。

債務者の自助努力が十分に反映された事業計画が前提となります。
♪Mr.Children「未来」(アルバム:I ♥ U収録)
